松末権九郎稲荷大祭の後にベルギーからのレジデンスアーティスト、France Duboisさんを誘って、有田さんのガイドのもと「曲がり松」という元々、稲荷のあった山頂まで散策することにしました。
昨晩、到着したばかりだというのに、集落のディープスポットでこの笑顔、そんな素敵なFranceさんについて簡単にご紹介。
ベルギーの写真家として活躍中のFrance Duboisさんはフランス、リトアニア、米国、英国、日本などでもアーティスト活動をされてきました。
日本は今回で2度目だそうです。昨年、山口県の秋吉台でもアーティスト・イン・レジデンスプログラムで滞在制作を行ったそうで、その時に撮影した野焼きの写真を見せてもらいました。FranceさんのHPに載っていますよ。
今回、糸島滞在中に2つのプロジェクトを制作予定だそうです。
興味がある方はこちらをご覧ください。→Studio KuraHP
※France Duboisさん素敵なHP → http://www.francedubois.eu/
さてさて、そんな素敵なFranceさんとともに有田氏の後をついていきます。
さくさくと山道をゆく有田氏、歩くの早か~とFranceさんが軽くつっこみます。(以下、我々、片言英語なので推測した訳です)
郷土史家と有田氏をご紹介したら、「大学の先生やりようと?」とFranceさん。
「うんにゃ、(しばし考え)ビジネスマン?サンデーヒストリアン」と答える有田氏。
糸島一日目から稲荷の大祭といい、かなり濃厚な出会いを経験中のFranceさんです。
*
それにしても、ちょっと入り込んだんだけで木がこんなに生い茂った山道、トレッキングに最適ですね~。
ほどなく鳥居が見えます。
うっそうとした荘厳な風景、整っているとは言い難い足場、空を見上げる以外の解放感が無く、適度な緊張感があります。
そこここにある巨石が石碑のように祭られてもいました。
火事の後でしょうか。木材の焼けた跡があります。
<有田メモ>
松末権九郎稲荷は伏見稲荷の直係であり山中に石碑が建っており、昭和30年頃に伏見から使者が来て、その際神殿を新しく建てたがすぐに焼失してしまった。
今回、集落のお年寄りの方達にお話を聞いた有田さんのイナリサーチで出来た地図です。
***
そして、休憩を挟んで今度は五郎稲荷の方も散策してみることにしました。
こちらは国道からも祠が見えていて開けた場所にあります。
途中、住宅地を通る時、庭先に干してあった柔道着に興味津津のFranceさん。
ちょっとだけ敷地にお邪魔してその柔道着と洗濯物をパシャリ。よそ様の敷地に(ちょびっとですが)入って大丈夫かとハラハラしたりの珍道中です。
歴史を感じさせる瓦屋根。
ほどなく現れた石段を鳥居をくぐりながら登ります。
山道同様、なかなかハードな石段が続きます。
ちょっと一息と途中、不意に今来た道程を振りかえると、田園広がる絶景なロケーション、連なる鳥居の先には百笑屋の松治久さんの農家に続いていました。
芸農では大変お世話になっている農家さんで、このおうちでは4世代が働き暮らしています。
そして、ここにも大きな石が祭られています。
<有田メモ>
松末の山に点在する大きな丸い岩に秘密があります。必ずといっていいほど大岩の前に社があります。
こちらは一段下にある、松末のお宮(天満宮)。古来から長尾天神といってこのあたりの産土神。
歴史が積み重なったような神殿には、迫力ある絵馬の数々など、ちゃんと集落の人々に大事にされている生きた神社であることが感じとれます。
また広場には火の見櫓もあり、歴史を感じます。
あら、牡蠣小屋でおなじみのひろちゃんカキの名前発見。フィッシャーマン、オイスターハンター?など思い浮かぶ単語で一生懸命説明。
<有田メモ>
奉納されている鳥居には、福吉や加布里など漁師が多く寄進しており、話によると入江さんという代人(稲荷のお告げを言う人)さんが来られてから漁師が多く来るようになったという。
一通り見て回って、一息ついた頃に有田さんが「あ!」と突然指差します。
何!!と振り返る私達。
「あの照明、かわいい!」
私、Franceさん「・・・・」
まぁ、確かにレトロで可愛いらしかです。
Franceさんもパシャっと一枚。
**
こんなディープカントリーサイド巡りの中で、写真家であるFranceさんがカメラを向けるのは、軒先に干してある柔道着であったり、誰かが手折った野花、不法投棄された何かの機材、山奥に捨て置かれたガラス片など、人の気配を感じさせるものでした。
ベルギーの田舎で生まれ育ち、現在はブリュッセルの都会で活動するFranceさん。
今回のレジデンスでの関心は、そこにあるコミュニティーと家族なのだと言います。
これは、アーティストに限らず、自然に囲まれた土地を訪ねる誰しもが興味を抱く普遍的なものではないでしょうか。
また、権九郎稲荷の後にのぼった五郎稲荷での開放的なロケーションの中で、リラックスしていたFranceさんの姿がとても印象的でした。
常にニコニコとして旅の疲れを感じさせないFranceさんでしたが、、神秘的な権九郎稲荷周辺の後に、ちゃんとコミュニティが機能していることを感じさせる場所での神殿に安心したのかもしれません。
このちょっとした空気感の違いは大変おもしろく、興味深いものだという発見でもありました。
ある意味神秘的な権九郎稲荷周辺と、人の営みが実感できる集会所周辺の落差は展示会場としてに活かせるのではないかとも感じました。
陰と陽。
ネイティブとレジデンス。
秋の展示が始まるまでに、機会があればこうして、レジデンスアーティストと近隣を歩き回ることも、発見があり、また地域の人と仲良くなるいい機会にもなりそうです。
後は神社用語を英語で覚えねば・・・