3月の春うららかな日曜日、松末権九郎稲荷にて初午の大祭がありました。
集落の住人が集まるこの日、権九郎稲荷についての聞き取り調査すべく、郷土史家、有田氏のイナリサーチ(まだ恥ずかしいすね、このネーミング…)に同行しました。
開始時間は11時。その前に皆さん集まって、おしるこを食べながら談笑していました。
昨晩、ベルギーよりレジデンスでやってこられた写真家のFrance Duboisさんの姿もあります。
玉串拝礼の榊を撮影中のFranceさん
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神主さんの祝詞によって山にある倉稲魂神(ウガノミタマ)を里に下ろして今年も豊作になりますようにと奏上が始まります。
余談ですが神主さんによると「祝詞」というものはある程度の型はあるものの、宮司さん達のオリジナルなので人に教えたり記録するものではないのだそうです。
奏上というだけに神主さんそれぞれで節回しや祝詞が違うのだそう。まさに言霊という感じですね~。
玉串拝礼(たまぐしはいれい)も無事に済み、今度は皆で料理をいただきます。
<初午のメニュー>
- かしわご飯
- がめ煮
- お煮しめ
- 紅白なます
- お新香
集落の奥様、おばあ様達が割ぽう着姿でてきぱきと台所仕事をされていました。
大釜で炊かれたがめ煮やかしわご飯は味が染みていてるのに上品な味です。
かしわご飯は薄口しょうゆ、濃い口しょうゆを1:1の割合で使うとご飯の色が濃くなりすぎないのだとか。
がめ煮はまとめて炊くけど、お煮しめは素材ごとに別々に味を含ませるから手間暇がかかっている一品。
それもそのはずなんと3日前(!)から炊き出しの準備をされていたそうです。
また、紅白なますや色鮮やかなたくわんにはリンゴ酢を使うとまろやかに仕上がるという隠し味をうかがいました。
神主さんのお向かいに座って上手にお箸を使いながらお膳をいただいているFranceさんと最年少参加者ののいちゃん。
他にも食事中の談話の中で出てきたおもしろいお話も耳にしました。
近所の集会所で毎月数珠を皆で回しているとのことです。
説明が難しいので以下、その時の会話です。
ちょっと間の抜けた私の受け答えはご容赦ください。
私、「へ?数珠回すんですか??夜に?」
おばあちゃん、「そう、こうやって(お箸で回す真似)大~きな数珠ばお経言いながら皆でまわすと」(ふふふと笑顔)
私、「へぇ~、おもいろいですねぇ。いつからやってるんですか?」
奥さん、「知らん~」(大笑い)「第3土曜日の夜にね、集まるとよ。」
私、「第3土曜日、毎月まわすんですか?!」
おばあちゃん、「そうよ!第3土曜日の夜よ!」
奥さん、「遊びにきんさい」
むむ~、そのうち、数珠回しに参加したいですね。
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大祭も終わり、お供え物ばらしも始まりました。
奥さん達は今日、大祭に来られなかった方達のために炊き出しをお弁当にするそうです。
今回の大祭の参加者はお年寄りが6名ほどとのいちゃん、フレンチさん、炊き出しの奥さん達、それと私達です。
高齢化が進み、年々、参加者も減っているようです。
良い天気ということもあり、私たちはさらに山中もイナリサーチ(慣れるために多用します・・・)することにします。
今日はお邪魔させていただきありがとうございました、Franceさんを誘って祠を案内してきます、と皆さんにお別れして山頂の「曲がり松」という、もともと稲荷のあった場所へと出発です。
(続きます)